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楽古文
伊勢物語 武蔵野の心 問題  
      昔、女はらから二人ありけり。   (第四一段)


 昔、女はらから二人ありけり。一人はいやしき男の貧しき、一人はあてなる男持たりけり。いやしき男持たる、師走のつごもりに、
上の衣を洗ひて、手づから張りけり。心ざしはいたしけれど、さるいやしきわざもならはざりければ、上の衣の肩を張り破りてけり。
せむかたもなくて、ただ泣きに泣きけり。これをかのあてなる男聞きて、いと心苦しかりければ、いと清らなる緑衫の上の衣を見いでてやるとて、
  紫の色こき時はめもはるに野なる草木ぞわかれざりける
武蔵野の心なるべし。

問題の答は、反転させると見やすくなります。

1 次の語の本文中での読みを、現代仮名遣いで答えなさい。
 1)          きぬ
 2)張り破りて       はりやりて
 3)緑衫         ろうそう


2 下線部の「て」の説明として適切なものはどれか。記号で答えなさい。(重複あり)
 1)上の衣を洗ひ、手づから張りけり。        (  )
 2)上の衣の肩を張り破りけり。           (  )
 3)せむかたもなく、ただ泣きに泣きけり。        (  )
 4)緑衫の上の衣を見いでてやると          (  )

  ア 接続助詞    イ 格助詞の一部    ウ 終助詞    エ 完了の助動詞の連用形

3 下線部の助動詞の文法的意味と活用形を答えなさい。
 
1)さるいやしきわざもならはざりければ、          打消・連用形 
 
2)野なる草木ぞわかれざりける             過去・連体形(「ぞ」の結び) 
 
3)武蔵野の心なるべし               推量・終止形 

4 下線部の語句の文中での意味を書きなさい。 

 1)昔、女はらから二人ありけり。                姉妹
 2)一人はいやしき男の貧しき、一人はあてなる男持たりけり。     身分の低い ・ 身分の高い
 3)師走のつごもりに、上の衣を洗ひて、             十二月の月末
 4)手づから張りけり。                    自分の手で
 5)いと清らなる緑衫の上の衣を見いでてやるとて、         美しい

5 下線部を現代語訳しなさい。
 1)心ざしはいたしけれど、さるいやしきわざもならはざりければ    注意をしたけれども ・ 慣れていなかったので
 2)せむかたもなくて、ただ泣きに泣きけり。            どうしようもなくて
 3)これをかのあてなる男聞きて、いと心苦しかりければ       たいそう気の毒に思ったので

6 「さるいやしきわざもならはざりければ」について
 1)「いやしきわざ」とは、「身分の低い者がする仕事」という意味だが、具体的には何をさすか。
   上の衣(袍)を洗い張りすること。
 2)「ならはざりければ」ということから、どんなことがわかるか。
   女が身分の高い家の出身であること。

7 「紫の色こき…」の歌について
 1)誰が詠んだ歌か。
   身分の高い男
 2)「紫の色こき」と「野なる草木」はそれぞれ何を暗示しているか。
   紫の色こき = 妻に対する愛情が深いこと   野なる草木 = 妻と縁のある人たち(姉妹とその夫)

8 この段の主題として最も適切なのは次のうちどれか。記号で答えなさい。
                                  (  )
 ア 姉妹でありながら結婚した相手の身分によって境遇がかわってしまう理不尽さ。
 イ 身分の高い家の出の女が、慣れない仕事をして失敗してしまった悲しさ。
 ウ 状況に応じた歌を、よく知られた歌をふまえて詠んだ、身分の高い男の風流心。
 エ 愛する妻の血縁者である姉妹をいたわる身分の高い男のやさしさ。


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