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楽古文
伊勢物語 ゆく蛍 問題  
      昔、男ありけり。人のむすめのかしづく   (第四五段)


 昔、男ありけり。人のむすめのかしづく、いかでこの男に物いはむと思ひけり。
うちいでむことかたくやありけむ、もの病みになりて死ぬべき時に、「かくこそ思ひしか」といひけるを、
親聞きつけて、泣く泣く告げたりければ、まどひ来たりけれど死にければ、つれづれとこもりをりけり。
時は水無月のつごもり、いと暑きころほひに、宵は遊びをりて、夜ふけて、やや涼しき風吹きけり。
蛍たかく飛びあがる。この男見ふせりて、
  ゆく蛍雲のうへまでいぬべくは秋風ふくと雁につげこせ
  暮れがたき夏の日ぐらしながむればそのこととなくものぞ悲しき

問題の答は、反転させると見やすくなります。

1 次の語の本文中での読みを、現代仮名遣いで答えなさい。
 1)水無月          みなづき
 2)            ほたる
 3)            かり


2 下線部の「の」と同じ用法の例をそれぞれ後から選んで記号で答えなさい。
 1)人のむすめかしづく、いかでこの男に物いはむと思ひけり。     (  )  同格の「の」
 2)時は水無月つごもり、いと暑きころほひに、           (  )  連体修飾格の「の」

  ア 花いとおもしろきを式部卿にたてまつるとて
  イ 山の端に日かかるほど、住吉の浦を過ぐ。
  ウ そこらの人そしり、恨みをも、はばからせたまはず。
  エ いかなれば四条大納言はめでたく、兼久がはわろかるべきぞ。
    アは同格(花でたいそう趣のある花)、イは主格、ウは連体修飾格、エは準体格を表す。

3 下線部の助動詞の文法的意味と活用形を答えなさい。
 
1)うちいでことかたくやありけむ、          婉曲・連体形 
 
2)うちいでむことかたくやありけむ          過去推量・連体形(「や」の結び) 
 
3)かくこそ思ひしか                過去・已然形(こそ」の結び) 

4 下線部の語句の文中での意味を書きなさい。 

 1)人のむすめのかしづく、いかでこの男に物いはむと思ひけり    大切に育てる(娘)
 2)つれづれとこもりをりけり。                 しみじみと心さびしく
 3)時は水無月のつごもり、いと暑きころほひに、          六月の下旬
 4)夜ふけて、やや涼しき風吹きけり。              しだいに やっと

5 下線部を現代語訳しなさい。
 1)いかでこの男に物いはむと思ひけり。        なんとかしてこの男に気持ちを伝えたい
 2)うちいでむことかたくやありけむ、もの病みになりて    言い出すようなことがむずかしかったのであろうか
 3)暮れがたき夏の日ぐらしながむれば         一日中ぼんやりともの思いに沈んで見ていると

6 「ゆく蛍…」の歌について
 1)「秋風吹く」には、作者のどのような気持ちが表れているか。一つ選んで記号で答えなさい。
                                       (  )
   ア 秋のさわやかさを心地よく思う気持ち          イ 荒れはてた心のような秋の景色を愁う気持ち
   ウ 秋の野の花のような娘の可憐さを思う気持ち       エ なくなった娘をしみじみとしのぶ気持ち
   オ 遠い空まで吹きわたる風の壮大さを思いやる気持ち


 2)「雲のうへまでいぬべくは」の動詞「いぬ」の活用の種類と活用形を答えなさい。
   また、同じ活用をする語を文中からすべて抜き出し、それぞれ活用形を答えなさい。
   いぬ = ナ行変格活用・終止形    同じ活用の語 = 死ぬ・終止形   死に・連用形


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