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楽古文
伊勢物語 通ひ路の関守 問題  
      昔、男ありけり。東の五条わたりに       (第五段)


 昔、男ありけり。東の五条わたりに、いと忍びて行きけり。みそかなる所なれば、門よりもえ入らで、童べの踏みあけたる築地のくづれより
通ひけり。人しげくもあらねど、たび重なりければ、あるじ聞きつけて、その通ひ路に、夜ごとに人を据ゑて守らせければ、行けども
えあはで帰りけり。さてよめる。
  人知れぬわが通ひ路の関守は宵々ごとにうちも寝ななむ
とよめりければ、いといたう心やみけり。あるじ許してけり。
 二条の后に忍びて参りけるを、世の聞こえありければ、せうとたちの守らせ給ひけるとぞ

                                              (第五段)


問題の答は、反転させると見やすくなります。

1 下線部の語を文法的に説明しなさい。 
 1)みそかなる所なれば、門よりもえ入らで、     ナリ活用形容動詞「みそかなり」の連体形
 2)しげくもあらねど、たび重なりければ、      ク活用形容詞「しげし」の連用形
 3)夜ごとに人を据ゑて守らせければ、       ワ行下二段活用動詞「据う」の連用形(「て」がつくと連用形と覚えておくとよい)
 4)世の聞こえありければ、            ラ行変格活用動詞「あり」の連用形  

2 下線部の助動詞と文法的に同じ意味のものは後の下線部のうちどれか。記号で答えなさい。 
 みそかなる所なれば、門よりもえ入らで、          (  ) 

  ア 子となり給ふべき人なめり。     イ 白きはかまもいと涼しげなり。  
  ウ 夢にも人に会はぬなりけり      エ 侍従の大納言の御女なくなりたまひぬなり。      (→「なり」の識別参照)
   アは「…となる」と訳せる動詞   イは「涼しげなり」で一語の形容動詞とみなす  
   ウは打消の助動詞連体形の「ぬ」についているので、断定。「である」と訳せる   エは完了の助動詞「ぬ」の終止形についているので、伝聞

3 下線部の助動詞の文法的意味と活用形を答えなさい。
 1)人しげくもあらど、たび重なりければ、       打消・已然形
 2)夜ごとに人を据ゑて守らければ、         使役・連用形
 3)あるじ許しけり。                完了・連用形
 4)せうとたちの守ら給ひけるとぞ           使役・連用形

4 下線部「なむ」について問に答えなさい。 
 人知れぬわが通ひ路の関守は宵々ごとにうちも寝ななむ            
 1) 下線部「なむ」はどう訳すのがよいか。
     
…してほしい (他に対する願望の意味をあらわす)
 2) 下線部の「なむ」と文法的に同じ意味の「なむ」は後のうちどれか。
                        (  )

  ア 「死なば一所で死なむ。」        イ かばかりになりては、飛び降るとも降りなむ
  ウ ましていとはばかり多くなむ。      エ (光源氏は)「惟光とく参らなむ。」とおぼす。     (→「なむ」の識別参照)
   アは「死ぬ」の未然形の一部と意志の助動詞「む」    イは強意の助動詞+推量の助動詞
   ウは係助詞(結びの省略)     エは未然形に接続していて、他に対する願望を表す終助詞   


5 下線部を現代語訳しなさい。

 1)東の五条わたりに、いと忍びて行きけり。        たいそう人目をさけて
 2)みそかなる所なれば、門よりもえ入らで、        人目をしのんで(通う)ところであるので
 3)行けどもえあはで帰りけり。                  行っても会うことができなくて
 4)世の聞こえありければ、せうとたちの守らせ給ひけるとぞ    世間でのうわさ

6 文中の歌の最後の「なむ」にこめられた男の思いはどのようなものか。
  
  見張り番が寝込んでいてくれたら、築地のくずれたところから入って、あの人にあえるのにというつらい思い。

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