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楽古文
「な」の識別

「な」の識別

1 副詞「な」
   例:
この羊、殺しそ。 (この羊を、殺さないでくれ。)
      終助詞「そ」と呼応して「な……そ」の形となる。「……」の部分は動詞の連用形。
     「……しないでくれ」「……するな」という禁止の意を表す。
     終助詞「な」による禁止よりもおだやかで、頼むような禁止の意となる。

2 ナ変動詞の未然形の語尾
   例:
ば、さてありなむ。 (もし死んだならば、それでもよい。)
      直前の部分とあわせて「死な(しな)」「往な・去な(いな)」の形になっている。

3 完了(強意)の助動詞「ぬ」の未然形
   例:
潮満ち来ば、ここをも過ぎじ。 (もし潮が満ちてきたなら、ここを通り過ぎないだろう。)
      髪もいみじく長くなりむ。 (髪もきっとたいそう長くなるだろう。)

      完了の助動詞「ぬ」は連用形につくので、「な」の上の語が連用形になっている。

4 断定の助動詞「なり」の連体形「なる」が撥音便となった「なん」の「ん」が無表記となったもの
   例:
子となり給ふべき人めり。 (子におなりになるはずの人であるのだろう。)
      体言または連体形につき、直後に助動詞「めり」「べし」「なり(伝聞推定)」等がある。

5 禁止の終助詞「な」
   例:
あやまちす心して降りよ。 (失敗をするな。心して降りよ。)
      終止形(ラ変型の語には連体形)につく。文末にあって禁止の意味となる。

6 詠嘆の終助詞「な」
   例:
この影をみれば、いみじう悲し。 (この姿を見ると、たいそう悲しいことよ。)
      文末にあって感動・詠嘆を表す。「な」を取り去っても文意が変わらない。

7 願望・意志の終助詞「な」
   例:
熟田津に船乗りせむと月待てば潮もかなひぬ今は漕ぎいで   (万葉集・額田王)
      上代(奈良時代)特有の語。

8 助動詞「ず」(打消)の未然形
   例:
妹が見しあふちの花は散りぬべしわが泣く涙いまだ干くに   (万葉集・山上憶良)
      「ず」の未然形の「な」は上代(奈良時代)に用いられた。
     平安時代には和歌の中で「なく」「なくに」のかたちで用いられた。

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