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楽古文
大鏡 兼通と兼家の不和(二) 問題
      この大将殿は、堀河殿すでに失せさせたまひぬと


 この大将殿は、堀河殿すでに失せさせたまひぬと聞かせたまひて、内に関白のこと申さむと思ひたまひて、この殿の門を通りて、
参りて申し奉るほどに、堀河殿の、目をつづらかにさし出でたまへるに、帝も大将も、いとあさましくおぼしめす。大将はうち見るままに、
立ちて鬼の間の方におはしぬ。関白殿、御前についゐたまひて、御けしきいとあしくて、『最後の除目行ひに参りてはべりつるなり。』とて、
蔵人頭召して、関白には頼忠の大臣、東三条殿の大将を取りて、小一条の済時の中納言を大将になし聞こゆる宣旨下して、
東三条殿をば治部卿になし聞こえて、出でさせたまひて、ほどなく失せたまひしぞかし。心意地にておはせし殿にて、
さばかり限りにおはせしに、ねたさに内に参りて申させたまひしほど、こと人すべうもなかりしことぞかし。
 されば、東三条殿、官取りたまふことも、ひたぶるに堀河殿の非常の御心にもはべらず。ことのゆゑは、かくなり。
『関白は次第のままに。』という御文、おぼしめしより、御妹の宮に申して取りたまへるも、最後におぼすことどもして、失せたまへるほども、
思ひはべるに、心強く、かしこくおはしましける殿なり。」


問題の答は、反転させると見やすくなります。
1 次の語の本文中での読みを、現代仮名遣いで答えなさい。
 1)門            かど

 2)帝            みかど
 3)除目           じもく
 4)蔵人頭          くろうどのとう
 5)宣旨           せんじ

2 文中の下線部「この殿の門」について
 1)「この殿」とは、誰の邸をさすか答えなさい。
    藤原兼通(堀河殿)

 2)「この殿の門」を訳しなさい。
    兼通の邸の門前

3 「『関白は次第のままに。』といふ御文」について
 1)この「御文」を書いてもらった人、書いた人はそれぞれ誰か。選んで記号で答えなさい。
   書いてもらった人 (  )    書いた人 (  )

   ア 東三条殿(藤原兼家)    イ 堀河殿(藤原兼通)    ウ 円融天皇
   エ 中宮安子(兼通の妹)    オ 済時の中納言


 2)「関白は次第のままに」とはどういう意味か、言葉を補って解釈しなさい。
   関白は兄弟の順に任命なさってください

4 下線部を文法的に説明しなさい。
 1)堀河殿すでに失せさせたまひと聞かせたまひて     完了の助動詞「ぬ」の終止形
 2)最後の除目行ひに参りてはべりつるなり。        完了の助動詞「つ」の連体形
 3)心意地にておはせ殿にて              過去の助動詞「き」の連体形
 4)御妹の宮に申して取りたまへも           完了の助動詞「り」の連体形
 5)最後におぼすことどもて、失せたまへるほども      サ行変格活用動詞「す」の連用形


5 下線部の「に」の説明として適切なものはどれか。記号で答えなさい。
 1)堀河殿すで失せさせたまひぬと聞かせたまひて       (  )
 2)関白のこと申さむと思ひたまひて            (  )
 3)堀河殿の、目をつづらかにさし出でたまへる         (  )
 4)心意地にておはせし殿て                (  )
 5)ひたぶる堀河殿の非常の御心にもはべらず。        (  )

  ア 格助詞    イ 順接の接続助詞    ウ 逆接の接続助詞    エ 断定の助動詞の連用形
  オ 副詞の一部    カ 完了の助動詞の連用形    キ ナリ形容動詞の連用形の活用語尾

6 下線部の動作の主体(主語)は誰か、選んで記号で答えなさい。(重複あり)
 1)堀河殿すでに失せさせたまひぬと聞かせたまひて、内に関白のこと申さむと思ひたまひて  (  )
 2)大将はうち見るままに、立ちて鬼の間の方におはしぬ。               (  )
 3)『最後の除目行ひに参りてはべりつるなり。』とて、蔵人頭召して           (  )
 4)出でさせたまひて、ほどなく失せたまひしぞかし。                 (  )
 5)さばかり限りにおはせしに、ねたさに内裏に参りて申させたまひしほど          (  )
 6)されば、東三条殿、官取りたまふことも、ひたぶるに堀河殿の非常の御心にもはべらず。  (  )
 7)『関白は次第のままに。』という御文、おぼしめしより                (  )

  ア 中宮安子    イ 円融天皇    ウ 藤原兼通    エ 藤原兼家    オ 蔵人頭
  カ 藤原頼忠    キ 藤原済時    ク 侍

7 文中下線を引いた「大将殿」「関白殿」それぞれと同じ人物をさす語を抜き出しなさい。
 大将殿 = 東三条殿      関白殿 = 堀河殿

8 下線部の語句の文中での意味を答えなさい。
 1)帝も大将も、いとあさましくおぼしめす。            意外でおどろくことと
 2)ねたさに内裏に参りて申させたまひしほど           いまいましさ
 3)ひたぶるに堀河殿の非常の御心にもはべらず。         むやみに/尋常でない御心
 4)『関白は次第のままに。』といふ御文             兄弟の順に

9 下線部を現代語訳しなさい。
 1)内に関白のこと申さむと思ひたまひて                申し上げよう
 2)関白殿、御前についゐたまひて、御けしきいとあしくて       ご機嫌がとても悪くて
 3)出でさせたまひて、ほどなく失せたまひしぞかし。          まもなくお亡くなりになったのだよ
 4)こと人すべうもなかりしことぞかし。               ほかの人ができそうもなかったこと
 5)思ひはべるに、心強く、かしこくおはしましける殿なり。        意志が強く、思慮深くていらっしゃった

10 本文中で兼通はどのような人物だと評されているか。二つ抜き出しなさい。
   心意地にておはせし殿    心強く、かしこくおはしましける殿



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