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楽古文
重要敬語 たてまつる



 たてまつる
  「与ふ」「人をやる」の謙譲語
  
「飲む・食ふ」「着る」「乗る」の尊敬語 
   
謙譲
の補助動詞

   謙譲語として用いられることが多いが、尊敬語として用いられることもあるので注意が必要。
   他動詞として、「与ふ」の謙譲語「さしあげる」、「(人を)やる」の謙譲語「参上させる」意に用いられる。
   また「飲む」「食ふ」の尊敬語、「着る」の尊敬語として用いられる。
   身分の高い人物の着物について描写して「たてまつる」と続く時、
   「お召しになる」の意ととらえるとよい。(4の例)
   自動詞としては、「乗る」の尊敬語「お乗りになる」意。
   たとえば「御舟にたてまつる」というとき、
   「たてまつる」を他動詞ととらえて「お舟にお乗せする」(謙譲)と訳す場合と、
   自動詞ととらえて「お舟にお乗りになる」(尊敬)と訳す場合が考えられる。注意が必要。

   補助動詞として謙譲の意味を表す。

   A 他動詞   … ア 謙譲語 「与ふ」「贈る」の謙譲語・「(人を)やる」の謙譲語
             イ 尊敬語 「食ふ」「飲む」の尊敬語・「着る」の尊敬語

   B 自動詞   …  尊敬語 「乗る」の尊敬語
    補助動詞  …  謙譲の意を表す

    
謙譲の補助動詞としての用例が最も多い。
   

   

   例1:恐ろしげなる虫どもをとり集めてたてまつる              (「与ふ」の謙譲語)
      
(気味の悪そうな虫を採集して(姫君に)さしあげる。)

   例2:なにがしを選びてたてまつり給へるは……。             (「(人を)やる」の謙譲語)
      
(だれそれを選んで参上させなさったのは……。)

   例3:壺なる御薬たてまつれ。きたなき所のものきこしめしたれば、……。   (「飲む」の尊敬語)
      (壺の中にある薬をお飲みください。けがれた所のものを召しあがったので、……。)

   例4:
宮は、白き御衣に紅の唐綾をぞ上にたてまつりたる。           (「着る」の尊敬語)
      
(中宮は白いお着物に紅の唐綾の着物を上にお召しになっている。)

   例5:それよりぞ御馬にはたてまつりける。                   (「乗る」の尊敬語)
      
(それからお馬にはお乗りになった。)

   例6:何となきそぞろごとの中に、おぼつかなき事をこそ問ひたてまつらめ。  (謙譲の補助動詞)
      
(なんとなくとりとめもないことの中で、意味のはっきりしないことをお尋ねもうしあげよう。)

   例7:見捨てたてまつりてまかる空よりも落ちぬべき心地する。         (謙譲の補助動詞)
      (お見捨て申しあげて参ります空から落ちてしまいそうな気持ちがすることです。)
    「見捨てて」の意を、相手に対する敬意をこめてあらわした表現。

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