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楽古文
徒然草 大事を思ひ立たむ人は 問題  
     大事を思ひ立たむ人は、去りがたく     (第五九段)


 大事を思ひ立たむ人は、去りがたく、心にかからむ事の本意を遂げずして、さながら捨つべきなり。しばし、このことはてて、
同じくはかのこと沙汰しおきて、しかじかのこと、ひとのあざけりやあらむ、行末難なくしたためまうけて、年来もあらばこそあれ、
そのこと待たむ、ほどあらじ、もの騒がしからぬやうになど思はむには、えさらぬことのみいとど重なりて、ことの尽くる限もなく、
思ひ立つ日もあるべからず。おほやう、人を見るに、少し心あるきはは、皆このあらましにてぞ一期はすぐめる。
 近き火などに逃ぐる人は、しばしとやいふ。身を助けむとすれば、恥をもかへり見ず、財をも捨てて逃れ去るぞかし。
命は人を待つものかは。無常の来ることは、水火の攻むるよりも速やかに、のがれがたきものを、そのとき、老いたる親、いときなき子、
君の恩、人の情、捨てがたしとて捨てざらむや。

問題の答は、反転させると見やすくなります。

1 次の語の本文中での読みを、現代仮名遣いで答えなさい。
 1)年来      としごろ
 2)一期      いちご
 3)財       たから


2 下線部の係助詞の結びの語を指摘して、文法的に説明しなさい。
 1)しかじかのこと、ひとのあざけりあらむ   む・推量の助動詞「む」の連体形
 2)皆このあらましにて一期はすぐめる。   める・推量の助動詞「めり」の連体形


3 下線部の助動詞の文法的な意味と活用形を答えなさい。
 1)心にかから事の本意を遂げずして      婉曲・連体形
 2)さながら捨つべきなり。           断定・終止形
 3)もの騒がしからぬやうになど思はには     仮定・連体形
 4)ことの尽くる限もなく、思ひ立つ日もあるべからず。 当然・未然形
 5)身を助けとすれば、恥をもかへり見ず     意志・終止形


4 下線部の語の文中での意味を書きなさい。
 1)さながら捨つべきなり。       そっくりそのまま
 2)皆このあらましにてぞ一期はすぐめる。 予定 ・ 一生
 3)老いたる親、いときなき子、      おさない


5 下線部を現代語訳しなさい。
 1)ひとのあざけりやあらむ、行末難なくしたためまうけて  将来面倒がないように始末をつけて
 2)年末もあらばこそあれ、そのこと待たむ、ほどあらじ   そのことを待とう、そんなに時間はかからないだろう
 3)えさらぬことのみいとど重なりて、ことの尽くる限もなく   避けられないことばかりがますます重なって
 4)近き火などに逃ぐる人は、しばしとやいふ。      しばらく待てと言うだろうか、いや言わないだろう


6 本文中の下線部「そのとき」とは、どういうときか。簡潔に答えなさい。
   死ぬとき

7 「大事を思ひ立たむ人は、去りがたく、心にかからむ事の本意を遂げずして、さながら捨つべきなり。」について
 1)「大事」とは何か。
    出家すること(仏道に入って修行すること)
 2)「大事」を決意したら、なぜ心にかかることを「さながら捨つべき」なのか。
    気になることを処理してからと思うと、避けがたいことが尽きることなく、いつまでも出家できなくなるから。

8 作者は、「少し心あるきは(少しものがわかる人たち)」は出家の予定で一生が過ぎると言っているが、
  それでは、「心あるきは」「心なききは」はどういう行動をとると推測されるか。
   心あるきは = 気がかりなこともそのままにして捨ておいて、決心したらすぐに出家する。
   心なききは = 出家しようと思うこともなく俗世間で生きていく。


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