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楽古文
大和物語 檜垣の御 問題 
      筑紫にありける檜垣の御といひけるは、いとらうあり



 筑紫にありける檜垣の御といひけるは、いとらうありをかしくて、世を経けるものになむありける。歳月かくてありわたりけるを、
純友がさわぎにあひて、家も焼けほろび、ものの具もみなとられはてて、いといみじうなりにけり。かかりとも知らで、野大弐好古
討手の使にくだり給ひて、それが家のありしあたりをたづねて、「檜垣の御といひけむ人に、いかであはむ。いづくにかすむらむ。」
とのたまへば、「このわたりになむすみはべりし。」など供なる人もいひけり。「あはれ、かかるさわぎにいかがなりにけむ、
たづねてしかな。」とのたまひけるほどに、かしら白き女の水くめるなむ、前より、あやしきやうなる家に入りける。
ある人ありて、「これなむ檜垣の御。」といひけり。いみじうあはれがり給ひてよばすれど、恥ぢて来で、かくなむいへりける。
  ぬばたまのわが黒髪はしらかはのみつはくむまでなりにけるかな
とよみたりければ、あはれがりて、着たりける袙一襲ぬぎてなむやりける。


問題の答は、反転させると見やすくなります。
1 次の語の本文中での読みを、現代仮名遣いで答えなさい。
 1)筑紫          つくし

 2)檜垣の御        ひがきのご
 3)袙           あこめ
 4)一襲          ひとかさね


2 文中に現れる地名等について、空欄を埋めて説明を完成させなさい。
  「筑紫」は現在の( 福岡 )県の古名であるが、広く九州地方をさすこともある。
  檜垣の御の歌に詠まれた「しらかは(白川)」は( 熊本 )県を流れる川である。


3 下線部の係助詞の結びの語について説明しなさい。
 1)いづくにすむらむ。       結びの語は「らむ」。現在推量の助動詞「らむ」の連体形
 2)このわたりになむすみはべりし。   結びの語は「し」。過去の助動詞「き」の連体形
 3)これなむ檜垣の御。       「檜垣の御」のあとに、「にてはべる」等の語が省略されていると考えられる。
                 結びの語「はべる」(ラ行変格活用「はべり」の連体形)が省略されている。


4 下線部の「の」の用法は下の選択肢のどれにあたるか。記号で答えなさい。(重複あり)
 1)それが家ありしわたりをたづねて、        (  )
 2)わたりになむすみはべりし。          (  )
 3)かしら白き女水汲めるなむ、…家に入りける。    (  )
 4)しらかはみづはくむまでなりにけるかな       (  )


  ア 主格(主語を示す)   イ 連体格(連体修飾を示す)   ウ 同格(「の」の前後が同格である)   エ 準体格(体言に準じた意)

5 下線部を文法的に説明しなさい。
 1)それが家のありわたりをたづねて、           過去の助動詞「き」の連体形
 2)かかる騒ぎにいかがなりにけむ、             過去推量の助動詞「けむ」の連体形
 3)いかがなりにけむ、たづねてしかな。            願望の終助詞
 4)かしら白き女の水汲めなむ、              存続の助動詞「り」の連体形
 5)いみじうあはれがり給ひて呼ばすれど、           使役の助動詞「す」の已然形

6 下線部の敬語表現について敬語の種類と、誰から誰への敬意を表しているかを答えなさい。
 1)「檜垣の御といひけむ人に、いかで会はむ。…」とのたまへば、    のたまへ=尊敬・作者から野大弐好古へ
 2)「このわたりになむすみはべりし。」など供なる人もいひけり。      はべり=丁寧・供なる人から野大弐好古へ
 3)「あはれ、かかる騒ぎにいかがなりにけむ、…」とのたまひけるほどに、  のたまひ=尊敬・作者から野大弐好古へ
 4)いみじうあはれがり給ひて呼ばすれど、恥ぢて来で         給ひ=尊敬・作者から野大弐好古へ

7 下線部の語句の文中での意味を答えなさい。
 1)檜垣の御といひけるは、いとらうありをかしくて、        経験を積み教養があり
 2)家も焼けほろび物の具もみなとられはてて、         家財道具
 3)かかりとも知らで、野大弐好古討手の使に         このようである
 4)それが家のありしわたりをたづねて、            あたり
 5)前より、あやしきやうなる家に入りける。           みすぼらしいようすの家
 6)あはれがりて、きたりける袙一襲ぬぎてなむやりける。      気の毒に思って

8 下線部を現代語訳しなさい。
 1)歳月かくてありわたりけるを、純友が騒ぎにあひて、       長い年月このようにして生活してきたが
 2)檜垣の御といひけむ人に、いかで会はむいづくにかすむらむ。   なんとかして会いたい どこに住んでいるのだろうか
 3)かかる騒ぎにいかがなりにけむたづねてしかな。        どのようになってしまったのだろうか 訪ねたいものだ
 4)いみじうあはれがり給ひて、呼ばすれど恥ぢて来でかくなむ    呼ばせたけれど 恥ずかしがって来ないで


9 文中の歌について
 1)枕詞を抜き出しなさい。
    ぬばたまの
 2)上で抜き出した枕詞はどの語にかかっているか。
    黒(黒髪)
 3)歌中に用いられている掛詞を指摘しなさい。
    「しらかは」の「しら」に髪の毛の「白」と川の名の「白川」の「白」をかけている
    「みづはくむ」に非常に年をとる意の「みづはぐむ」と「水は汲む」をかけている

10 本文の内容と合致するものを選んで、記号で答えなさい。
                                     (  )
 ア 野大弐好古は、檜垣の御が純友の乱にあってひどい様子になったと聞き、会いたいと思った。
 イ 野大弐好古は風流な暮らしで知られる檜垣の御が九州に住んでいることを知っていた。
 ウ 野大弐好古が檜垣の御を探していると、ある人が、「私が檜垣の御です。」と言った。
 エ 野大弐好古はおちぶれた檜垣の御を気の毒に思って、歌を詠んで袙をひとかさね与えた。
  ア ひどい様子になっているとは知らなかった。  ウ ある人は頭の白い女をさして「これが檜垣の御です。」と言った。
  エ 歌を詠んでよこしたのは檜垣の御。歌を詠んだ檜垣の御に対して、野大弐好古は袙を与えた。
 



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