本文へスキップ

楽古文
大和物語 鹿の声 問題 
      大和の国に男女ありけり。年月限りなく思ひて住みけるを



 大和の国に男女ありけり。年月限りなく思ひて住みけるを、いかがしけむ、女を得てけり。なほもあらず、この家に率てきて、
壁を隔てて住みて、わが方にはさらによりこず。いと憂しと思へど、さらに言ひもねたまず。秋の夜の長きに、目をさましてきけば、
鹿なむ鳴きける。ものもいはで聞きけり。壁を隔てたる男、「聞きたまふや、西こそ。」といひければ、「なにごと。」といらへければ、
「この鹿のなくは聞きたうぶや。」といひければ、「さ聞きはべり。」といらへけり。男、「さて、それをばいかが聞きたまふ。」といひければ、
女ふといらへけり。
  我もしかなきてぞ人に恋ひられし今こそよそに声をのみきけ
とよみたりければ、限りなくめでて、この今の女をば送りて、もとのごとなむ住みわたりける。


問題の答は、反転させると見やすくなります。
1 次の語の本文中での読みを、現代仮名遣いで答えなさい。
 1)大和          やまと

 2)憂し           うし

2 文中の地名、「大和」について、空欄を埋めて説明を完成させなさい。
  「大和」は旧国名の一つ。畿内五か国の一つで現在の( 奈良 )県にあたる。

3 下線部の係助詞の結びの語について説明しなさい。
 1)我もしかなきて人に恋ひられし今こそよそに声をのみきけ   結びの語は「し」。過去の助動詞「き」の連体形
 2)我もしかなきてぞ人に恋ひられし今こそよそに声をのみきけ   結びの語は「きけ」。カ行四段活用動詞「きく」の已然形


4 「さ聞きはべり」の「さ」は何を指すか。現代語で答えなさい。
   鹿が鳴いている

5 下線部を文法的に説明しなさい。
 1)いかがしけむ、女を得てけり。             過去推量の助動詞「けむ」の連体形
 2)いかがしけむ、女をてけり。             ア行下二段活用動詞「得(う)」の連用形
 3)この家にてきて、壁を隔てて住みて、         ワ行上一段活用動詞「率る(ゐる)」の連用形
 4)ものもいは聞きけり。                打消の接続助詞

6 下線部の敬語表現について敬語の種類と、誰から誰への敬意を表しているかを答えなさい。
 1)壁を隔てたる男、「聞きたまふや、西こそ。」といひければ、      たまふ=尊敬・男からもとの妻へ
 2)「さ聞きはべり。」といらへけり。                 はべり=丁寧・もとの妻から男へ

7 下線部の語句の文中での意味を答えなさい。
 1)年月かぎりなく思ひて住みけるを、                 この上なく
 2)いと憂しとおもへど、                      つらい
 3)ものも言はで聞きけり。                     なにも言わないで
 4)「聞きたまふや、西こそ。」といひければ、「なにごと。」といらへければ、   言ったので ・ 答えると
 5)ふといらへけり。                       すっと

8 下線部を現代語訳しなさい。
 1)いかがしけむ、女を得てけり。           どうしたのであろうか
 2)わが方にはさらによりこず。            まったくよってこない
 3)もとのごとなむ住みわたりける。           住み続けた


9 文中の歌について
 1)掛詞について説明しなさい。
    「しか」に「鹿」と「然」を掛けている
 2)「我もしかなきてぞ人に恋ひられし」を解釈しなさい。
    鹿が妻を求めて鳴いているが、私もあのようにあなたに泣いて慕われたものでした
 3)「今こそよそに声をのみきけ」に込められた気持ちとして最も適切なものを選んで記号で答えなさい。
                                     (  )
   ア 今は妻を求めるあなたの声をよそに聞くばかりですという寂しくつらい気持ち
   イ 今こそとなりの私の声だけを聞いてくださいと切実に願う気持ち
   ウ 今では鹿の声もよそ聞けるのだから、あなたもこちらにきてくださいと訴える気持ち
   エ 鹿の声もあなたも、ほかのところへ行ってしまうのはしかたのないことですとあきらめる気持ち




大和物語 一覧

練習問題
 一覧



ナビゲーション